化学辞典 第2版 「第三体」の解説
第三体
ダイサンタイ
third body
遊離原子や簡単な遊離基(または分子)が結合して1個の新しい分子を生じる反応で,生成した分子が安定化するためには,結合に際して放出される余剰エネルギーを除去する必要がある.この余剰エネルギーを受け取るために介在を必要とする第三の分子を第三体という.このとき,衝突は三体衝突(three-body collision)となる.たとえば,
H + H + M → H2 + M
H + OH + M → H2O + M
O + O2 + M → O3 + M
など(Mは第三体).Mが1 atm のとき,三体衝突の起こる確率は,分子の直径と平均自由行程の比から概算して,二体衝突の1/1000程度である.少し複雑な遊離基どうしの再結合では,この余剰エネルギーは生成分子の内部自由度に吸収されてしまうから第三体を必要としない.反応容器の器壁などの固体表面も第三体の役割をする(表面再結合).[別用語参照]再結合反応
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報