化学辞典 第2版 「等吸収点」の解説
等吸収点
トウキュウシュウテン
isosbestic point
与えられた吸収物質の種々の状態における吸収曲線が一点で交わるときの点をいう.初濃度 c0 の吸収物質Aの吸収曲線と,Aの一部がBにかわったときの吸収曲線との交点における吸光度をDとすれば,
D = εAcAd + εBcBd
となる.ここで,εはモル吸光係数,cは濃度 mol L-1,dは光路長(一定)である.交点の波長では εA = εB であるから,
D = εAd(cA + cB)
となる.もし
cA + cB= c0
なら,次々の変化に対して各吸収曲線は必ず同じ交点を通る.等吸収点の存在は,2種類の吸収分子種の間に1:1の平衡が成立していることを示すので,分析化学的に重要な意義をもつ.pH変化,溶媒変化,酸化還元電位,そのほかの条件により互変する化学構造の研究に広く利用されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報