日本大百科全書(ニッポニカ) 「筥陶司」の意味・わかりやすい解説
筥陶司
きょとうし
「はこすえのつかさ」ともいう。養老令制下の官司。宮内省(くないしょう)の被管。808年(大同3)に大膳職(だいぜんしき)に併合された。宮内で用いる筥(はこ)・櫃(ひつ)・陶器(すえき)・土師器(はじき)などを管理するのが職掌であった。筥などの木製品については、雑戸(ざっこ)として筥戸(はここ)が197戸所属しており、調役を免除されて、これを製作、納入した。一方、陶器・土師器については、製作にあたる品部(しなべ)・雑戸が属しておらず、調として納入されたものを保管・出納することが任務であった。歴史的にも、本来の設置目的は木製品の生産・保管であったらしく、大宝令制の官名は「筥笥司」であった。
[古尾谷知浩]