被管(読み)ひかん

精選版 日本国語大辞典 「被管」の意味・読み・例文・類語

ひ‐かん‥クヮン【被管・被官】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 管轄をうけること。特に令制で、上級の官庁に直属する下級官庁のこと。また、その官人。中務省の管轄下の図書寮などの類。
    1. [初出の実例]「凡被管諸司解由、及不与解由状」(出典:延喜式(927)一一)
  3. 貴族・武士神官・寺僧・官人などの階層を主人とする、比較的隷属関係の深い従者をいうよび名。被管人。被管衆。
    1. [初出の実例]「熊谷次郎直実以下平家被官之輩」(出典:吾妻鏡‐治承四年(1180)八月二三日)
  4. 中世近世地頭に隷属する百姓。また地方によって地頭以外の地主に隷属する百姓もいい、名子・門屋・水呑などいろいろな呼び名がある。被管百姓。
    1. [初出の実例]「地頭被管之輩耕作地者、信連可結解之条顕然也」(出典高野山文書‐嘉元四年(1306)九月七日・関東下知状)
  5. 近世、町家の下男、下女のこと。
    1. [初出の実例]「夜るの物を売りては冬の夜すがら凍果て、子共を人の被官(ヒクン)になし」(出典:仮名草子浮世物語(1665頃)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の被管の言及

【被官】より

…被管とも書き,もともとは管轄される者の意であるが,平安後期以後には家人(けにん),家来と同じ意味で使われるようになった。ただ家人中でも比較的身分の低い者をさし,それよりさらに低い下人(げにん)とは区別される。…

※「被管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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