国指定史跡ガイド 「箕作阮甫旧宅」の解説
みつくりげんぽきゅうたく【箕作阮甫旧宅】
岡山県津山市西新町にある邸宅跡。江戸時代の蘭学者として名高い箕作阮甫は、1799年(寛政11)、津山藩医貞固の子として生まれた。早くに父と兄を失い家を継ぐことになり、幼年期から学問に励んだといわれる。1822年(文政5)、藩医に登用され、1823年(文政6)に藩主の供をして江戸に出、当時一流の洋学者であった津山藩医の宇田川玄真(うだがわげんしん)に蘭学を学ぶ。その後、蕃書調所(ばんしょしらべしょ)教授に任じられ、洋学者として初めて幕臣に列せられた。『和蘭文典』をはじめ、医学、兵学、西洋地理・歴史などに関する多くの著訳書を残し、幕末蘭学の発展に寄与した。箕作阮甫旧宅は津山市街地の東はずれに位置する敷地298m2の町屋で、14年間にわたって少年期を過ごした。1975年(昭和50)に国の史跡に指定され、翌年解体・復元された。木造平屋建て桟瓦葺きの母屋(おもや)、木造平屋建て本瓦葺きの土蔵などがあり、江戸時代の街道筋の町屋の特徴をよく保存している。隣に津山洋学資料館がある。また、阮甫の銅像がJR津山駅頭に立っている。JR姫新線ほか津山駅から中鉄バス「東新町」下車、徒歩すぐ。