木骨土壁の耐火建築構造で、物を格納する建物。通常は、柱を約1メートル間隔に立て、その外側に丸竹としゅろ縄で下地をつくり、壁土を何回も塗って20~30センチメートルの厚さとし、その上を漆喰(しっくい)などで仕上げる。壁土で覆われているのは外部のみで、内部は木部が露出している。壁の上部に鉢巻、下部に腰巻という突出部をつける。屋根は瓦(かわら)が多い。開口部は、観音(かんのん)扉、土塗りの引き戸、鉄扉などでふさがれる。火災のときは、扉を閉め、さらに、用心土とよばれる粘土で開口部のすきまを目塗りすることが、かつては行われた。
すでに鎌倉時代初期にはこの建築構造がみられるが、現在みられる土蔵の様式は、江戸時代に完成した。元来は物を格納する蔵として使われたが、近世になると、店舗や座敷などとしても利用され、妻壁の目だつところに屋号や定紋を書き印(しる)し、宣伝に活用したりした。しかし、大正時代中期以降、土蔵の数は減少の一途をたどっている。
[中村 仁]
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…〈庫〉とも書かれる。構造の違いから高倉,板倉,校倉(あぜくら),丸木倉,石倉,土蔵(どぞう),穴蔵などがあり,管理や用途によって正倉,勅封蔵,郷蔵,米蔵,酒蔵,木蔵など,さまざまな名称がある。16世紀後半以降,防火のため,外側を土で厚く塗り込める形式が多く用いられるようになった。…
※「土蔵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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