内科学 第10版 「糖代謝とは」の解説
糖代謝とは(糖代謝異常総論)
糖質は,人間のエネルギー源として最も重要なものである.特に,中枢神経系においてはブドウ糖(グルコース)が唯一のエネルギー源であり,血中グルコース濃度の極度の低下は,中枢神経細胞の機能低下~死をもたらす.逆に,血中濃度の高値が持続する状態は糖尿病とよばれ,結果的に,ほぼ全身の各臓器・組織におけるさまざまな異常を引き起こす.
人間の血液中のグルコース濃度は,健常者では,1晩絶食しても70~100 mg/dLの範囲にあり,糖質を主体とした食事を摂取した後でも,140 mg/dLをこえない範囲に調節されている(図13-2-1).このような精密な血糖値のコントロールは,グルコース濃度に応じて分泌促進あるいは分泌抑制され,血糖を低下させる唯一のホルモンであるインスリンの作用と,インスリンの作用に拮抗して血糖を上昇させるホルモンである,グルカゴン,カテコールアミン,成長ホルモン,コルチゾールなどの作用とのバランスによって調節されている.[花房俊昭]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報