主体(読み)しゅたい

精選版 日本国語大辞典 「主体」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐たい【主体】

〘名〙
帝王のからだ。〔漢書‐東方朔伝〕
② 中心となるもの。最も重要な性質。また、体や団体や機械などの主要な部分。
※集議和書(1676頃)一四「人君の、国を治め四海をたもち給ふ事、知を以て主体とす」
※鼠と猫(1921)〈寺田寅彦〉三「時々大きな奴の尻尾だけを持って来た。主体を分離した尾部は独立生命を有つもののやうに振動するのである」
③ 他に対して、働きかける当のもの。認識に関しては主観同義であり、実践的には意識と身体を持った行為者をさす。⇔客体
学生読書(1938)〈河合栄治郎編〉如何に読書すべきか〈木村健康〉「フィヒテは『独逸国民に告ぐ』の中で所謂詰込み主義教育の弊が学生を主体としてではなく専ら客体として取扱ふ点にあると指摘したが」

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デジタル大辞泉 「主体」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐たい【主体】

自覚意志に基づいて行動したり作用を他に及ぼしたりするもの。「動作主体」⇔客体
物事を構成するうえで中心となっているもの。「食事療法主体に種々の治療を行う」「市民主体祭典
語源の〈ギリシャhypokeimenōnは、根底にあるもの、基体の意》哲学で、他に作用などを及ぼす当のもの。認識論では主観と同義。個人的、実践的、歴史的、社会的、身体的な自我の働きが強調される場合、この主体という言葉が用いられる。→主観
[類語]主部本体中心しゅじくかなめはしら中軸枢軸主軸主力基幹根幹中枢中核基軸要石かなめいし大本おおもと根本基盤大根おおねキーストーン

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普及版 字通 「主体」の読み・字形・画数・意味

【主体】しゆたい

本体。

字通「主」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「主体」の意味・わかりやすい解説

主体
しゅたい

主観」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の主体の言及

【自我】より

…一方,〈自〉という漢字は鼻をかたどったもので,鼻を指さして〈自分〉を示すことから,自分の意に転用された語であるという。このことは,〈自我〉という語が,本来,単なる主体を表すのではなく,そこに主体の主体自身への再帰的指示が含意されていることを示唆している。だからこそ,その語は,擬人的表現などの場合を除けば,自己意識をもったものにしか使われないのである。…

【西洋哲学】より

…この〈ヒュポケイメノン〉がラテン語ではsubjectum(下に投げ出されてあるもの)と訳され,〈シュンベベコス〉がaccidens(偶有性)と訳されて,〈基体‐属性〉というこのとらえ方は中世のスコラ哲学や,さらには近代哲学にもそのまま受けつがれてゆくのである。
【主観‐客観と主体‐客体】
 〈ヒュポケイメノン〉のラテン訳であるsubjectumという言葉は,スコラ哲学や近代初期の哲学においては,それ自体で存在し,もろもろの作用・性質・状態を担う〈基体〉という意味で使われていた。ホッブズやライプニッツは魂をsubjectumと呼んでいるが,それも感覚を担う基体という意味においてであり,そこには〈主観〉という意味合いはない。…

※「主体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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