紅色陰癬(読み)こうしょくいんせん(英語表記)Erythrasma

六訂版 家庭医学大全科 「紅色陰癬」の解説

紅色陰癬
こうしょくいんせん
Erythrasma
(皮膚の病気)

どんな病気か

 大人の股や(わき)の下など皮膚が擦れやすいところにできやすい病気で、蛍光(けいこう)ジフテロイドという特殊な細菌による感染症です。

原因は何か

 蛍光ジフテロイドは常在菌ですが、糖尿病肥満多汗症の患者さんに多くみられ、日和見(ひよりみ)感染(健康人には病気を起こさない菌が、抵抗力の弱い患者さんに感染症を起こす)と考えられています。

症状の現れ方

 大人の股、腋の下、足の指の間、お乳の下、お尻の割れ目などにできやすく、軽い赤みのある褐色斑(かっしょくはん)で、少しかゆみがあり、糠状(ぬかじょう)・粉状の皮がついています(図53)。足趾の間では皮膚がふやけて白くなります。

検査と診断

 ウッド灯(長波長の紫外線を出す蛍光管)で病変部を照らすと、サンゴのような赤色の蛍光を認めます。白癬(はくせん)、カンジダ症、癜風(でんぷう)脂漏性(しろうせい)皮膚炎などとの区別が必要ですが、ウッド灯での赤色蛍光で区別できます。

治療の方法

 一部の抗真菌薬、エリスロマイシン、あるいはテトラサイクリン薬の軟膏またはクリームを塗ります。範囲が広い場合には、エリスロマイシンあるいはテトラサイクリンを内服します。

多田 讓治


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紅色陰癬」の意味・わかりやすい解説

紅色陰癬
こうしょくいんせん
erythrasma

男性の陰股部に好発するが,ときに腋窩,趾間,女性の乳房下部などに生じる境界鮮明で扁平な,紅色ないし紅褐色の落屑性病変をいう。普通自覚症状はないが,ときに 瘙痒,灼熱感がある。苔癬化が認められることもある。病変部に皮膚常在菌である棒状のグラム陽性桿菌を多数証明できる。糖尿病,肥満,多汗などのある高齢者に生じやすい。治療には抗生物質や抗真菌外用剤が用いられる。

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