精選版 日本国語大辞典 「絹張」の意味・読み・例文・類語
きぬ‐ばり【絹張】
- 〘 名詞 〙
- ① 絹布を洗い張りすること。また、籡張(しんしばり)で、布をたてに引っ張るために、その両端につけた木の棒。布を洗い張りするとき、ひもをつけて立木や杭に結びつけ、皺(しわ)をのばし幅を整えるため、布の両端につけて引っぱる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
- [初出の実例]「きぬばりか霞のかかる木木のえた〈貞盛〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)五)
- ② 絹布を糊(のり)で張りつける板。皺をのばし、乾燥させるもの。
- [初出の実例]「押入の戸やきぬ張で人をよび」(出典:雑俳・柳多留‐初(1765))
- ③ 絹布を張って作ること。また、その製品。
- [初出の実例]「たれむしの(かず)くぐりて絹(キヌ)ばりの障子引あけて」(出典:浮世草子・男色大鑑(1687)六)
- ④ ハゼ科の海産魚。体長一一センチメートルに達し、体は細長く側扁する。第一背びれが長く、左右の腹びれは相合して吸盤を作る。体色は淡桃色で、六~七本の黒褐色の横帯があって美しい。体の表面がなめらかで絹のような肌をしているという意からこの名がある。観賞用に水族館などで飼われる。北海道から九州、朝鮮半島の岩礁性の海岸にすむ。きばのる。