土地に生えているままの樹木をいう。〈たちき〉と読むこともある。通常は集団となっている樹木をさす。法律上,立木が問題とされるのは,それが生立している地盤とは別に独立して所有権等の物権の客体たりうるかという点においてである。民法は,土地およびその定著物を不動産とし(民法86条1項),定著物のうち建物のみを独立の不動産として取り扱うので,立木その他の定著物は原則として土地の一部とされる。したがって,立木は土地所有権に吸収され土地の処分に従う。しかし,日本の取引界では,古来慣行的に,樹木を土地に生育したままの状態で地盤と独立して取引してきたので,立木を独立の不動産として取り扱い,独立の物権の客体とする必要があった。そこで,一方でまず,〈立木ニ関スル法律〉(立木法と略称。1909公布)を制定し,〈一筆ノ土地又ハ一筆ノ土地ノ一部分ニ生立スル樹木ノ集団〉であって,〈其ノ所有者ガ本法ニ依リ所有権保存ノ登記ヲ受ケタルモノ〉(1条)を独立の不動産とみなした(2条1項)。そしてこのような立木については,ちょうど建物と同様の法的処理を認めている。他方,立木法による登記を経ていない立木についても,判例法上,立木のみの処分,立木を留保した土地のみの処分が承認され,地盤所有権と分離することとなった立木所有権については,樹木を削って所有者名を墨書するなどのいわゆる明認方法をもってその公示方法としている。
執筆者:安永 正昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
土地に生えているままの樹木、また、その集団。民法上は、土地の定着物として不動産として取り扱われ(86条)、その所有権は土地所有者に帰属する(242条)。したがって、民法の条文による限り、立木は土地と別に独立の取引対象とならないことになる。しかし、古くから立木はそれが生えている土地から切り離して独立に取引する慣行があり、この取引上の必要に応じるため1909年(明治42)に「立木ニ関スル法律」が制定された。同法に基づき所有権保存の登記がなされた立木は、建物と同じように、地盤の土地から独立した不動産として取り扱われる(2条)。さらに、立木法による登記を経ない立木も、樹皮を削って所有者の名を墨書するなどの明認(めいにん)方法を施すことによって、独立の不動産として取引の対象となることが、判例によって認められている。
[高橋康之]
…通常は集団となっている樹木をさす。法律上,立木が問題とされるのは,それが生立している地盤とは別に独立して所有権等の物権の客体たりうるかという点においてである。民法は,土地およびその定著物を不動産とし(民法86条1項),定著物のうち建物のみを独立の不動産として取り扱うので,立木その他の定著物は原則として土地の一部とされる。…
※「立木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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