内科学 第10版 「縦隔内血腫」の解説
縦隔内血腫(縦隔疾患)
縦隔内に何らかの原因で出血し,縦隔内に血腫が存在するものを指す.
原因
おもな原因は外傷で,重症例は交通外傷や強力な心肺蘇生後にみられる.ときに中心静脈穿刺やカテーテル抜去による血管損傷,大動脈瘤の破裂,縦隔腫瘍からの出血,出血傾向をきたす病気などが原因となる.
臨床症状
出血の程度に依存し,少量の出血では症状をきたさない.一般に背部へ放散する胸骨後痛で,出血量が多くなると呼吸困難やショック症状を呈し致死的となる.
診断・治療
胸部X線では縦隔陰影の拡大や気管の偏位がみられ,胸部CTでは新鮮出血部位は高吸収域としてみられる.しかし,出血後数日で高吸収域から等吸収域へ変化する.治療として,少量の出血で軽微な症状では止血薬などの保存的治療,大量の出血で隣接臓器の圧迫症状があれば緊急手術が必要である.[岡 三喜男]
■文献
Cameron RB, Loehrer PJ, et al: Neoplasms of the mediastinum. In: Cancer-Principles and Practice of Oncology, 9th ed (DeVita VT, Lawrence TS, ed), pp871-881, Lippincott WW, Philadelphia, 2011.
Roberts JR, Kaiser LR: Acquired lesions of the mediastinum: benign and malignant. In: Pulmonary Diseases and Disorders, 4th ed (Fishman AP, Elias JA, et al ed), pp1583-1614, McGraw-Hill, New York, 2008.
Wright CD: Nonneoplastic disorders of the mediastinum. In: Pulmonary Diseases and Disorders, 4th ed (Fishman AP, Elias JA, et al ed), pp1555-1581, McGraw-Hill, New York, 2008.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報