改訂新版 世界大百科事典 「縮合環式化合物」の意味・わかりやすい解説
縮合環式化合物 (しゅくごうかんしきかごうぶつ)
condensed ring compound
2個以上の環が2個またはそれ以上の原子を共有して結合した化合物。ベンゼン環2個が縮合したナフタレン,3個が縮合したフェナントレン,アントラセンなどが代表的である。3,4-ベンゾピレンのように多数のベンゼン環が縮合したものには強い発癌性が認められている。さらに多くの環が縮合したものには電気伝導性があり有機半導体として注目されている。
脂環式縮合環の最も簡単なものは2個のシクロヘキサンが縮合したデカリンである。テルペンの多くのものやステロイドはこの型の化合物に属する。
6員環以外の環あるいは複素環が縮合環の一部または全部をつくっている場合(たとえばインドールなど)や,二つ以上の環に共有された原子が炭素以外の原子である場合(たとえばインドリジンなど)もある。
執筆者:竹内 敬人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報