コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

有機半導体 ゆうきはんどうたいorganic semiconductor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

有機半導体
ゆうきはんどうたい
organic semiconductor

有機化合物で半導体に類似の電気的性質を示すもの (適当な大きさの抵抗率をもち,温度を上げると抵抗が下がる) をいう。材料により室温での抵抗率が 10-2~1016Ω・cm と大きく変化する。有機化合物ではその分子の中だけで強い結合をしており,分子と分子の間は弱く結合している。価電子は原子付近に存在し,分子と分子の間には電位障壁が存在して電子の移動を妨げている。導電率が大きくなり半導体的性質を示すためには,分子間を電子が容易に移動できることが必要である。有機化合物で共役二重結合をもつ物質では分子間の結合をπ電子が果している。π電子は分子内結合に寄与しないので分子内を自由に移動し,分子間の波動関数の重なりのためトンネル効果により分子間を移動することも可能となって電気伝導を生じる。ベンゼン環を多数縮合した多環芳香族化合物でナフタレン,アンスラセンなどがある。また,フタロシアニンや電荷錯体もおもな有機半導体であるが,ポリアセチレンなどの高分子や染料もこのなかに含まれる。整流効果,光導電効果,光起電力効果など興味ある性質をもつ。光導電材料としての高分子ポリビニル・カルバゾールは有名である。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

百科事典マイペディアの解説

有機半導体【ゆうきはんどうたい】

半導体特性を示す有機化合物。たとえば多数の共役二重結合をもつフタロシアニンやその重合体,ベンゼン核が多数縮合した多環芳香族化合物およびそのハロゲン付加化合物などが知られている。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ゆうきはんどうたい【有機半導体 organic semiconductor】

本来電気的に絶縁体である有機化合物固体中で,π電子の移動および電荷移動に基づいて半導体的電気特性を示す物質。炭素原子を主体として構成する有機化合物の電子状態は,その炭素の電子構造で支配される。炭素は,価電子がsp3混成軌道と,sp2混成軌道をとる場合がある(混成軌道)。sp2混成軌道で組み立てられている化合物の代表は,ベンゼン環をもつ芳香族化合物や黒鉛である。これらの化合物は分子内を比較的自由に動ける電子であるπ電子をもつ。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

世界大百科事典内の有機半導体の言及

【化学】より

…本来有機分子は,その美しい色(染料),よい香り(香料),そして生理活性(医薬品)など,分子1個1個の示す特性がその研究の対象であった。ところでナイロンやエボナイトなど分子が集合してできる有機固体の力学的性質の利用に加えて,電気的性質に着目した有機半導体および有機導体の研究が開始されたのは1940年代の終りである。これらは光や力学,磁性等の特性を生かした機能性有機固体の研究に展開し,たとえば耐熱性高分子や金属に代わる炭素繊維を用いた複合材料など応用面での著しい発展がみられた。…

【半導体】より

… 現在,半導体といわれるものの種類は非常に多いが,単体としてはシリコンSi,ゲルマニウムGeなど,化合物ではガリウムヒ素GaAsとかインジウムリンInPなど3価と5価の元素からなるいわゆるIII‐V金属間化合物が重要である。このほか,硫化カドミウムCdSなどのII‐VI化合物を含めて各種の酸化物,硫化物とか,さらにはアントラセンなどの有機半導体もあげられる。これらは結晶の状態で扱われることが多いが,70年ころから非晶質の半導体(アモルファス半導体)も注目されている。…

※「有機半導体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

有機半導体の関連キーワード有機エレクトロ・ルミネッセンス有機エレクトロニクスエネルギー変換用色素ハイブリッド材料薄膜トランジスタ縮合環式化合物電荷移動錯体光電変換材料高分子半導体赤松 秀雄井口洋夫太陽電池有機EL赤松秀雄有機薄膜電位障壁電子写真導電率光伝導

今日のキーワード

分水嶺

1 分水界になっている山稜(さんりょう)。分水山脈。2 《1が、雨水が異なる水系に分かれる場所であることから》物事の方向性が決まる分かれ目のたとえ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

有機半導体の関連情報