シクロヘキサン(読み)しくろへきさん(英語表記)cyclohexane

翻訳|cyclohexane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シクロヘキサン」の意味・わかりやすい解説

シクロヘキサン
しくろへきさん
cyclohexane

もっとも代表的なシクロアルカンの一つ。ヘキサメチレンヘキサヒドロベンゼンともよばれる。無色可燃性の液体ベンジンのにおいをもつ。ナフサ中のメチルペンタンを異性化させると生成する。高純度のシクロヘキサンニッケル触媒として高温・加圧下、ベンゼンを水素添加して製造する。シクロヘキサンの構造は平面正六角形でなく、炭素間の結合角のひずみ、ねじれのひずみ、水素間のファン・デル・ワールス力によるひずみの総計が最小である椅子(いす)形配座をとる。シクロヘキサンを液相空気酸化すると、シクロヘキサノールシクロヘキサノンが生成する。またシクロヘキサン中で塩化ニトロシルを光照射すると、シクロヘキサノンのオキシムが生ずる。これからカプロラクタムを導きナイロンが製造される。シクロヘキサンの工業的用途の9割までがナイロンの製造にあてられる。ほかに油脂抽出、樹脂、塗料など溶媒としての用途がある。

[向井利夫]



シクロヘキサン(データノート)
しくろへきさんでーたのーと

シクロヘキサン
分子式C6H12
分子量84.2
融点6.47℃
沸点80.74℃
比重0.7791(測定温度20℃)
屈折率(n)1.42623

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シクロヘキサン」の意味・わかりやすい解説

シクロヘキサン
cyclohexane

化学式 C6H12 。シクロアルカンのなかで最も安定なもので,ベンゼンの還元によってつくられる無色の液体。沸点 81℃。エチルアルコールエーテルに可溶,水に不溶。ラッカー,樹脂,ペンキ溶剤として使われる。天然には石油の中に少量含まれている。立体構造は主としてイス形をとる。

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