聞分(読み)ききわける

精選版 日本国語大辞典 「聞分」の意味・読み・例文・類語

きき‐わ・ける【聞分】

〘他カ下一〙 ききわ・く 〘他カ下二〙
① 音や声などを聞いて区別する。ききわかつ。
※能因本枕(10C終)一二三「ただあるかなきかにききわけたるきりぎりすの声」
② 聞いて事の是非を定める。聞いてその意を悟る。納得する。得心する。ききわきまう。
※新千載(1359)釈教・八五七「ききわくる心の内の誠こそ教へによらぬ悟りなりけれ〈桓覚〉」
人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)三「道理を詰(つめ)て頼めば聞(キキ)わけて呉れる」
③ 香りをかいで区別する。ききわかつ。
浮世草子西鶴織留(1694)三「十炷香はいよいよ福徳そなはれる隙人の花車あそび、是聞分(ワク)る鼻にて」

きき‐わか・る【聞分】

[1] 〘自ラ四〙 聞いて理解する。聞いて判断する。
※春の潮(1908)〈伊藤左千夫〉八「此位の道理の聞き判らないお前ではなかったに」
[2] 〘自ラ下二〙 聞いて区別する。別々の音と聞く。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「おなじしらべながら、はるかにすみのぼりたるこゑ〈略〉四方の山はやしにききわかれて」

きき‐わけ【聞分】

〘名〙 聞いて判断、または納得すること。また、そうする能力。多く子どもがおとなにさとされて、自分欲求を我慢して従うことについていう。
※虎寛本狂言・老武者(室町末‐近世初)「さりとて御聞わけのない」
※日々の葬祭(1953)〈高橋和巳〉「ききわけよく諦めたとは思えない」

きき‐わ・く【聞分】

[1] 〘他カ四〙 聞いて判断する。聞いて是非を決める。
古今(905‐914)春上・一〇「春やとき花や遅きとききわかん鶯だにも鳴かずもあるかな〈藤原言直〉」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒ききわける(聞分)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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