日本大百科全書(ニッポニカ) 「育苗器」の意味・わかりやすい解説
育苗器
いくびょうき
水稲の苗を箱育苗する場合の最初の出芽、ときには緑化過程までを人工加温する装置。田植機の普及に伴い均一で健康な苗を同時的に大量に得ることが必要とされ、広く使われるようになり、とくに寒冷地の早期育苗では必需品となっている。育苗器は普通鉄枠組みで棚式になっており、収容箱数は200程度が一般で、光を遮断する保温シートで被覆され、播種(はしゅ)した苗箱は積み重ね、あるいは棚に並べて収容される。出芽適温は32℃で、熱源はおもに電熱ヒーターで、ほかに蒸気で加温、加湿する方式や、両者の組合せ方式などがある。緑化用には、カバーを透明フィルムに取り替え、苗箱を棚に並べ、温度は20~25℃にする。
[星川清親]