育薬(読み)イクヤク

デジタル大辞泉 「育薬」の意味・読み・例文・類語

いくやく【育薬】

医薬品の販売後、副作用効能などに関する情報収集・評価し、有効性安全性をより高める取り組み。厚生労働省製薬会社に原則8年間の製造販売後調査をすることを義務付けている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「育薬」の解説

育薬

医薬品は他の工業製品などと異なり、新たに開発された時点で完成された製品として市販されるものではない。治験段階では限定されたごく少数患者に対してのみ適用され、得られる情報が限られているためである。従って、市販後に多くの患者に適用されて初めて、最適な使用法や新たな副作用が発見されることがある。また市販後も臨床試験解析を重ねることで、新たな効果や、より適切な使用法が見いだされたり、逆に、治験段階での有効性や安全性に関する情報が覆されたりする。こうした過程(段階)は、「より適切な使用法に関する情報を増やす」という過程であり、「育てる」イメージに近いことから、従来創薬という用語に対して、育薬という用語が使用される。育薬には薬剤師の行う薬剤業務(従来の臨床薬学)の一部も含まれる。育薬は患者等の協力が必要であり、その協力者(患者または健常者)を育薬ボランティアと呼ぶ。

(澤田康文 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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