結石は、多くは腎臓で形成されます。
腎盂の形に
外来でまず行われる有用な検査は超音波検査です。
結石が腎盂に
腎盂・腎杯全体に結石が形成されたサンゴ状結石は、腎尿管膀胱部単純X線検査(KUB)でも腎盂・腎杯の形態がわかるような結石形態を示します。
ヨード系造影剤にアレルギーを起こす人がいるので、最近は静脈性腎盂造影が行われることは少なくなり、代わりにCT検査が行われるようになりました。CTでは結石の3次元的な位置関係を把握することができます。また、X線陰性結石(X線では写らない)の尿酸結石やシスチン結石に対してもCTは有用です。
結石の治療は、①鎮痛などの対症療法、②自然排石を促す待機療法、③尿酸結石やシスチン結石に対する溶解療法、④外科的治療法に分けられます。結石の形態にもよりますが、約8㎜以下、とくに5㎜以下の結石は自然排石が可能といわれています。
①対症療法
疼痛がある場合には、鎮痛薬(インドメタシン坐薬やペンタゾシンの注射)、鎮けい薬を使用しながら、結石形成抑制薬などを投与します。
②待機療法
水分摂取は最も重要な治療になりますが、吐き気・嘔吐が強い場合や脱水傾向がある場合には補液を行います。
適度な運動(縄跳びなど)も有用です。
尿路感染症を伴っている場合には起炎菌(原因となる菌)を特定し、抗菌薬の投与を行います。
③溶解療法
一部が自然排石されて、結石分析により尿酸結石であると判明した場合には、キサンチンオキシダーゼ阻害薬であるアロプリノール(ザイロリック)と尿アルカリ化を図る目的でクエン酸製剤を投与します。
シスチン結石の場合には、シスチンの溶解性を高めるために、ペニシラミン(メタルカプターゼ)などの投与と尿アルカリ化、尿量増加を図ることで、効果が得られます。
④外科的治療法
自然排石が期待できない大きい結石に関しては、体外衝撃波砕石術(たいがいしょうげきはさいせきじゅつ)(ESWL、コラム)を行います。サンゴ状結石の場合などは経皮的腎砕石術(けいひてきじんさいせきじゅつ)(PNL、コラム)などの内視鏡手術が行われます。腎切石術・腎盂切石術などの開放手術はほとんど行われなくなりましたが、最終的に腎摘出術を行う場合はあります。
尿管結石が嵌頓(尿管にはまって完全閉塞を起こす状態)して腎盂腎炎を併発した場合には、抗菌薬の投与を十分行います。しかし、結石嵌頓が改善せず、解熱しない場合には、尿管にステントというシリコン性の細いチューブを挿入・留置し、尿路閉塞を解除する必要があります。
結石嵌頓が強い場合には、尿管ステント挿入が困難な場合もあります。このような場合には、
結石は再発を起こしやすい病気であるため、破砕・排石後も定期的なチェックが必要です。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…腎臓内に生ずる結石で尿路結石の一つである。結石の存在する部位によって,狭義の腎結石や腎盂(じんう)・腎杯結石などに分けられる。結石の大きさは,砂粒くらいのものから,腎盂・腎杯にしっかりとはまり込むほどに大きいものまである。後者を鋳型結石あるいはその形にちなんでサンゴ状結石と呼ぶ。まれに100個以上の結石があることがある。20~30歳代の男性に多く,症状は,結石のある側の腹部の発作的な激しい疼痛(結石疝痛)を特徴とし,悪心や嘔吐をともなうこともある。…
※「腎臓結石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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