苛立(読み)いらだつ

精選版 日本国語大辞典 「苛立」の意味・読み・例文・類語

いら‐だ・つ【苛立】

[1] 〘自タ五(四)〙
① とげや毛が一面に立つ。
※玉塵抄(1563)四七「日のくれて山の端えをつる時分さむい毛いらだった馬に駄てもどるぞ」
② (思うようにいかなかったり、不快なことがあったりして)気持がたかぶる。あせってじりじりする。いらいらする。じれる。いらつ。
読本南総里見八犬伝(1814‐42)一「日数もけふを限りと思へば、こころ頻に焦躁(イラダツ)のみ」
[2] 〘他タ四〙 不快な刺激などで気持をたかぶらせる。いらいらさせる。
※宝の山(1891)〈川上眉山〉五「妖魔はこの体に気を焦燥(イラ)だち、妨げされては安からじと」
[3] 〘他タ下二〙 ⇒いらだてる(苛立)

いらだたし・い【苛立】

〘形口〙 いらだたし 〘形シク〙 (動詞「いらだつ(苛立)」の形容詞化) あせって心に余裕がない感じである。思うようにいかない事や、不快な事などのため感情がたかぶっている。また、人の気持をいらいらさせるような物事のさまである。〔名語記(1275)〕
偸盗(1917)〈芥川龍之介〉一「太郎は、日にやけた顔に、いら立たしい色を浮べながら」
いらだたし‐げ
〘形動〙
いらだたし‐さ
〘名〙

いら‐だち【苛立】

〘名〙 (動詞「いらだつ(苛立)」の連用形名詞化) 思うようにいかないことや不快なことのために、気持がたかぶること。あせってじりじりすること。
小公子(1890‐92)〈若松賤子訳〉前編老侯憤怒と、性急(イラダチ)と、痛症(つうしゃう)とにて、苦しげに太い息をつき」

いら‐だ・てる【苛立】

〘他タ下一〙 いらだ・つ 〘他タ下二〙 不快な刺激などで気持をたかぶらせる。いらいらさせる。いらだたす。
路上(1919)〈芥川龍之介〉八「この香気が彼の騒ぐ心を一層苛立(イラダ)てて行くやうな気がしてならなかった」

いらだたし【苛立】

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