改訂新版 世界大百科事典 「莎車」の意味・わかりやすい解説
莎車 (さしゃ)
Shā chē
中国,漢・魏時代の西域の一国。《魏書》には渠沙国として見える。新疆ウイグル自治区のヤルカンド(葉爾羌)にあたる。現在の人口は約4万5000。ヤルカンド川流域に位置するオアシス都市で,すでに紀元前後の中国に,人口1万6373を擁する青玉の産地,中国より大月氏,安息に向かうシルクロード上の要地として知られる。しかし西のカシュガル,東のホータンという二つの有力なオアシス都市の中間に位置したため,以後はそのいずれかに服属することが多かった。10世紀のカラ・ハーン朝時代以降徐々にトルコ化・イスラム化し,13世紀のモンゴル帝国時代以降の諸文献に初めてヤルカンドの名称が現れる。16~17世紀のカシュガル・ハーン国時代には,カシュガル・ホージャ家の黒山党の本拠地として知られ,また17~18世紀には新たな発展をみせており,インド,中国,コーカンド間の国際交易の中心地として,むしろカシュガルをしのぐ繁栄をしめした。
執筆者:間野 英二
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