知恵蔵 「虎ノ門ヒルズ」の解説
虎ノ門ヒルズ
東京を始め、日本の多くの都市は太平洋戦争の空襲により、壊滅的な被害を受けた。この戦災復興のために各地で都市計画が進められ、東京にもいくつかの計画道路などが構想された。このうち、東京都江東区有明から、新橋・虎ノ門を経て、赤坂見附・四谷を通り、水道橋を抜けて神田に至る、総延長約14キロメートルの道路計画が環状第2号線である。この道路は首都の中心部を貫通するため、民有地の収用などが難航し、計画が大幅に遅滞していた。1989年に立体道路制度が創設されたことにより、道路の区域を立体的に定めてその上下に建築物を建設できるようになり、当地にも適用が検討された。98年にこの制度を適用した、道路事業と再開発事業を合わせた環状第2号線の新橋・虎ノ門地区の都市計画が決定した。この虎ノ門街区に当たるのが虎ノ門ヒルズである。このため、同ビルの地下にも環状2号線が通り、その地下トンネル部分への入り口が近辺に設けられている。
同ビルのフロア構成は、1~4階がレストランなどの商業エリア、4~5階には最大2000人収容のホール、6~35階はオフィスエリアとなっている。37階にスパを配し、46階まではレジデンスとして分譲や賃貸の居住エリア、47~52階にはハイアット系のホテル「アンダーズ東京」がオープンしている。ドラえもんをもとにした、耳があるモノクロ模様のネコ型ロボット「トラのもん」がビルのマスコットを務める。
(金谷俊秀 ライター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報