触媒有効係数(読み)ショクバイユウコウケイスウ

化学辞典 第2版 「触媒有効係数」の解説

触媒有効係数
ショクバイユウコウケイスウ
effectiveness factor

触媒反応速度に及ぼす拡散過程の影響を表す一つの尺度である.固体触媒は,普通,粒子外部の表面積より細孔内部の表面積のほうがはるかに大きい.このような多孔質触媒においては,反応にあずかる気体成分は拡散によって触媒内部に移動して反応が起こる.いま,拡散速度が化学反応速度に比べて十分速ければ(化学反応律速),触媒粒子内部にまで反応気体がいきわたり,粒子内で均一に反応が起こる.ところが,化学反応速度が拡散速度に比べて速くなると(拡散律速),反応原料ガスが触媒内部へと拡散していくうちに反応してしまい,粒子の中心部では反応原料の濃度はほぼ0となって,中心部分の表面にある活性点は反応に関与しなくなる.そこで,実際の反応速度と,全表面積が有効にはたらいているときに得られる反応速度との比を触媒有効係数という.拡散過程の影響がないときの触媒有効係数は1で,拡散過程の影響が増すにつれて触媒有効係数は1より小さくなる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android