化学辞典 第2版 「触媒反応」の解説
触媒反応
ショクバイハンノウ
catalytic reaction
触媒の作用によって進行する反応.反応系と触媒の状態の違いから,気相,溶液相についての均一系触媒反応と,固体触媒表面での気体分子や溶質分子の反応が行われる不均一系触媒反応とに分類される.コロイド状触媒や酵素のあずかる反応は,これらの中間領域に属する.不均一系触媒反応の過程は,一般に,
(1)触媒作用が行われる部分(活性点)への反応分子の拡散などによる接近,
(2)活性点への吸着あるいは配位,
(3)活性点上の反応,
(4)生成物分子の触媒からの脱離,
から成り立っている.高圧気体,高濃度溶液や多孔質触媒の場合,反応速度はしばしば拡散過程に支配されるが,通常,反応過程の活性化エネルギーがほかの過程に比べていちじるしく大きいので,これが律速段階となる.このとき,反応速度は活性点の数に比例するから,反応が均一系であれば速度は均一触媒の濃度に,あるいは不均一系であれば固体触媒の表面積に比例することになる.しかし,固体触媒では反応速度が反応分子の吸着量に関係するため,速度式は必ずしも単純ではない.触媒により反応が促進されるのは,主として吸着,配位など反応物と活性点との反応により,無触媒の場合より活性化エネルギーが低く,より起こりやすい反応経路ができるためと考えられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報