(読み)ち

普及版 字通 「豸」の読み・字形・画数・意味


7画

[字音] チ・タイ
[字訓] けもの

[説文解字]

[字形] 象形
獣の形。神判に用いる神羊を解豸(かいち)、また解(かいたい)という。の省略形ともみられる字形である。〔説文〕九下に「獸の長脊にして、行くこと豸豸然(ちちぜん)として、司(伺)するらんと欲するの形なり」とする。〔爾雅、釈虫〕に「足る、之れを蟲と謂ひ、足無き、之れを豸と謂ふ」とするが、豸は獣の側身形で、明らかに足をしるしている。は豸の全形であろうと考えられ、法の初文に従う。は神判に敗れた人(大)を、その自己詛盟の器((さい))の蓋(ふた)を除き((きよ))、敗訴者の神羊()とともに水に流し、廃棄する意。金文にはを廃棄の意に用いる。

[訓義]
1. けもの、かいたい(解)、かいち(解豸・豸)。
2. ながむし、はうむし。

[古辞書の訓]
立〕豸 ケダモノカキ・ケダモノ・ケ 〔字鏡集〕豸 ケダモノ・カタクツシ・トク

[部首]
〔説文〕に・貉・貍など十九字、〔新附〕にを加える。〔玉〕にすべて六十五字を属する。

[語系]
豸豸然の豸dieiは夂tieiと声近く、夂(ち)は足を引く形。豸豸然もそのような歩きかたをいう。

[熟語]
豸冠豸史・豸・豸・豸豸豸虫豸班豸範
[下接語]
解豸・豸・蟄豸

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【虫】より

…虫の字は虺の古文として用いられて〈キ〉と読み,元来はヘビ類の総称であるという。昆虫は蟲と書くのが正しく,蟲豸(ちゆうち)は肢のあるむしで,肢のないものが豸(ち)である。中国ではトラを大蟲といったように,〈虫〉は今の動物分類学上の昆虫のみではなく,虫偏のつく漢字の示すように動物の総称に用いられた。…

※「豸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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