金文(読み)きんもん

精選版 日本国語大辞典 「金文」の意味・読み・例文・類語

きん‐もん【金文】

〘名〙 金言をしるした文章。また、経文
※明極楚俊遺稿(14C中か)悼径山義蔵主「龍淵水已成枯竭。大蔵金文尽作灰」

きん‐ぶん【金文】

〘名〙 古代鉄器銅器など金属類にしるされた文字・文章。中国の殷・周時代の古銅器にみられる銘文など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「金文」の意味・読み・例文・類語

きん‐ぶん【金文】

鉄器・銅器など金属器に刻まれた文字や文。特に、中国、いん時代の青銅器に鋳刻された銘文をいう。→石文

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「金文」の読み・字形・画数・意味

【金文】きんぶん

青銅器の銘文。特に殷・周の古代文字の銘をいう。また、金泥で書いた書。詔命。唐・唐彦謙〔李昌時の禁苑に新たに命ぜらるるを賀す〕詩 玉、上(宮名)に直し 禁垣(きんえん)丹地御所のうち)、嚴(げんけい)を閉す

字通「金」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典 第2版 「金文」の意味・わかりやすい解説

きんぶん【金文 Jīn wén】

中国で,金属器に鋳だしたりたがね彫された文字,文章をいう。中心は殷代末年から周代にかけての青銅器に鋳だされた銘文である。青銅製品は竜山文化末期出現し,殷代の二里頭,二里岡期にはすでに精巧な青銅容器が存在するが,そのうえに確かな銘文は見いだせない。金文の出現は殷の安陽期になってからである。最も古い銘文は,ある部族あるいは血族集団を表象する図像記号(部族標識ともいう)だけを表したもの,あるいは特殊な人名だけを表したもので,殷墟の婦好墓出土の金文がその典型となろう。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「金文」の解説

金文(きんぶん)

殷(いん)周の青銅器に刻まれた銘文。甲骨文字よりさらに整っており,金文がさらに変化して戦国時代籀文(ちゅうぶん)になる。漢字の源流や変遷を知るうえで,また殷周時代の研究に不可欠の資料。金文研究(金石(きんせき)学)は宋代から起こった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金文」の意味・わかりやすい解説

金文
きんぶん

金石文」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典内の金文の言及

【漢字】より

… 殷墟文字についで周代の銅器の銘文の文字が知られている。これを金文または鐘鼎文(しようていぶん)という。これは殷墟文字の系統を受け,いっそう慣習化されているが,きわめて華麗な文字である。…

【金石文】より


[中国]
 中国では一般的な書写材料である竹や木,帛(はく)や紙とともに,金属や石材が古くから用いられてきた。このうち金属に刻した銘文が金文,石材に刻した銘文が石刻あるいは石刻文,両者を併せて金石文という。金文の中には兵器(戈,戟,矛,剣など)や度量衡(権,量,尺など)や貨幣などの銘文もあるが,主要なものは殷・周時代の彝器(いき)とよばれる青銅器の銘文である。…

【書】より

… 殷代から周代にかけては,祭器,楽器,兵器などさまざまな種類の青銅器が数多く作られた。これらの青銅器に鋳款または銘刻されている文字を金文とよぶ。金文はそれが作製された時代によって殷,西周,東周(春秋戦国),秦に大別することができる。…

【中国文学】より

…卜辞は君主のために神意を問うた占いのことばで,短いものが多い。周代の〈金文(きんぶん)〉(青銅器の銘文)は,おおむね君主から臣下へ賜った告命の辞である。これには100字を超える長文があって,文字使用の技術の進歩をあらわす。…

【鼎】より

…漢代には彩画の陶鼎があるほか,漆器製の鼎もつくられた。 殷・周代の鼎には銘文があるものが多く,金文(きんぶん)ともいわれる。殷代のものは数文字で作器者名などだけであるが,殷代末期からは鼎をつくった事情を,紀年・人名などを入れて書くようになり,周代にはさらに詳しく書かれて,祭事・叙任などに関しての賞賜をうけた冊命(さくめい)形式の文章が定型化していき,長文のものでは,約500字に及ぶ毛公鼎(もうこうてい)のようなものがあり,同時代史料として第一級の価値をもっている。…

※「金文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

少子化問題

少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...

少子化問題の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android