漢字を、字形のうえで、同じもしくは類似の要素によって分類配列する場合、その部の代表となる字をいう。たとえば、「丁」「丑」「世」「丘」は部首「一」に、「必」「思」「快」「恥」は部首「心」に属する。部首のまとめ方、配列、名称などは古来より一定していない。『説文解字(せつもんかいじ)』(許慎(きょしん)編、121年)は「一、二、示」から「酋、戌、亥」までの540部に分け、『玉篇(ぎょくへん)』(顧野王(こやおう)編、543年)は『説文解字』の12部を減らし14部を加えて542部とする。日本では、『新撰字鏡(しんせんじきょう)』(900年ごろ)は「天、日、月、肉、雨」のように天地人という意義分類による約160部の部首配列であり、『類聚名義抄(るいじゅみょうぎしょう)』(平安末期ごろ)では「人、彳、辵」から「風、酉、雑」までの120部となっている。漢字は形声字が8割以上を占めているから、意符(義符)によって部首にまとめるということは、意義による分類に近いものとなる。現行の漢和辞典は多く『康煕字典(こうきじてん)』(1710)に倣っている。この書は「一」から「龠」の214の部首を画数順に並べ、部首内の漢字も画数によって配列している。部首の呼び名は古くは篇(へん)(片、偏)に限られていたが、篇、冠(かんむり)、繞(にょう)に分化し、さらに構(かまえ)、垂(たれ)、旁(つくり)などの用語ができたらしい。『新撰字鏡』に連火(れんが)、之遶(しにょう)、二水(にすい)、立心(りっしん)などの語がみえ、通俗的な呼び名がそのころからあったことが知られる。部首は俗に偏旁冠脚(へんぼうかんきゃく)と通ずるが、厳密には異なるものである。
[沖森卓也]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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