日本大百科全書(ニッポニカ) 「賓陽」の意味・わかりやすい解説
賓陽
ひんよう / ピンヤン
中国南部、広西(こうせい)チワン族自治区中部の県。南寧(なんねい)市に属する。人口105万(2016)。珠江(しゅこう)水系西江(せいこう)支流の紅水河(こうすいが)と邕江(ようこう)の分水界をなす大明山脈の山麓(さんろく)に位置する。県政府所在地の賓州鎮は柳州(りゅうしゅう)と南寧を結ぶ幹線道路に沿い、多くの支路の分岐点をなす交通の要地である。県内は米の二期作が盛んで、良質の石炭を産出する。黎塘(れいとう)のレンコン、古辣(こらつ)の香米(かおりまい)などが名産として知られる。
西の県境にある昆侖関(こんろんかん)は天険の地として知られ、宋(そう)代の狄青(てきせい)(1008―1057)と儂智高(のうちこう)(1025―1055ころ)の戦いや抗日戦の戦場となった。竜の舞いと爆竹で知られる伝統行事「炮竜節(ほうりゅうせつ)」も有名で、国の非物質文化遺産(無形文化遺産)に指定されている。
[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年8月21日]