走査型電気化学顕微鏡(読み)ソウサガタデンキカガクケンビキョウ

化学辞典 第2版 「走査型電気化学顕微鏡」の解説

走査型電気化学顕微鏡
ソウサガタデンキカガクケンビキョウ
scanning electrochemical microscope

SECMと略記される.プローブ顕微鏡の一種.動作原理は走査型トンネル顕微鏡(STM)と同様である.すなわち,位置制御用の三次元圧電素子を用いて,プローブ(探針)-試料間の電流が一定であるように探針を走査し,試料表面像を得る.しかし,STMでは探針と試料(金属,半導体)の間に流れるトンネル電流を利用するのに対し,SECMでは探針(電極)と試料の間に流れる電解電流を利用する.探針を試料に直接触れさせて行う直接法と,探針と試料の間にメディエーターを含む溶液を入れて行う間接法とがある.直接法では,探針と試料が直接触れ合うので探針および試料がいたむ欠点がある.間接法では,探針の先端だけからの電流を検出するため,探針の側面を絶縁する必要があり,探針の作製に工夫がいる.空間分解能は0.5 μm 程度であるが,電極電位を容易に変化させることができるため,表面の酸化還元に関する情報が得られる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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