蹇先艾(読み)けんせんがい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「蹇先艾」の意味・わかりやすい解説

蹇先艾
けんせんがい / チエンシエンアイ
(1906―1994)

中国の小説家。四川(しせん/スーチョワン)省越雋(えつしゅん)に生まれ、20年に北京(ペキン)へ出るまで貴州(きしゅう/コイチョウ)省遵義(じゅんぎ/ツンイー)で育つ。魯迅(ろじん/ルーシュン)の影響を受け、簡潔な文体で貴州の庶民の生活を多く描き、郷土作家とよばれた。1925年(一説に26年)文学研究会会員となる。26年北平大学法学院入学、同年、最初の短編集『朝霧』を出版した。卒業後北京松坡(しょうは)図書館に勤務し、弘達学院の講師を兼任。抗日戦争期、貴州に戻り、『毎周文芸』を創刊、文抗貴州分会理事などを歴任した。中華人民共和国成立後は作家協会貴州分会主席、貴州省政協副主席などを歴任したが、反右派闘争、文化大革命で批判された。四人組追放後ふたたび筆をとり、85年より作協顧問となる。代表作には、新任の県長と郷紳たちの荒唐無稽(むけい)な生活を描いた『初秋の夜』(1930)や、駕籠(かご)かきの運命を同情を込めて描いた『貴州道上にて』(1931)などがある。短編集『山城集』(1956)、『蹇先艾短篇(たんぺん)小説選』(1981)などが刊行された。

[白水紀子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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