重陽の節句(読み)ちょうようのせっく

知恵蔵mini 「重陽の節句」の解説

重陽の節句

平安時代の初めに中国から伝わったとされる五節句のうちの一つで、旧暦9月9日のこと。中国の陰陽思想では、奇数縁起のよい「陽数」とされ、3月3日や5月5日など奇数が重なる日を祝う風習がある。なかでも陽数の最大値である9が重なる9月9日は重陽と呼ばれ、大変めでたい日と考えられてきた。五節句の名称には、3月3日の桃、5月5日の菖蒲(しょうぶ)のように、それぞれの季節を代表する花の名前がついており、重陽は「菊の節句」とも呼ばれる。平安時代初期には宮中行事の一つとなり、邪気を払うとされる菊の花を愛でながら、菊の花弁を浸けた酒を飲んで不老長寿を祈願する「観菊の宴」が開かれた。江戸時代にはこの風習が民間にも広がり、菊を浮かべた湯に入ったり、乾燥させた菊の花弁を詰めた枕で眠ったりするなど、年中行事として親しまれるようになった。

(2020-9-17)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の重陽の節句の言及

【重陽】より

…9月9日の節供。陽数(奇数)の極である9が月と日に重なることからいい,重九(ちようきゆう)ともいう。中国行事の渡来したもので,邪気を避け,寒さに向かっての無病息災,防寒の意味もあった。菊花宴ともいい,685年(天武14)を起源とするが,嵯峨天皇のときには,神泉苑に文人を召して詩を作り,宴が行われていることが見え,淳和天皇のときから紫宸殿で行われた。菊は霊薬といわれ,延寿の効があると信じられ,この日,菊酒を飲むことも行われた。…

※「重陽の節句」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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