釣瓶井戸(読み)つるべいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「釣瓶井戸」の意味・わかりやすい解説

釣瓶井戸
つるべいど

釣瓶を使って生活用水をくみ上げる施設の総称湧水(ゆうすい)・河川水などを利用しにくい場所で広くみられた。地下水の関係からしだいに深い水脈からくみ上げるようになったが、これは、地下水面まで掘削する井戸掘りの技術、掘削部分が壊れてこないための井戸枠のくふうなどが発達したことによる。古い井戸枠では、曲物(まげもの)製や四角の木枠を組んだものがあった。釣瓶には、綱や竿(さお)の先端に桶(おけ)を取り付け、天秤(てんびん)仕掛けで桶を引き上げる跳ね上げ式や、綱の端に桶をつけて滑車を利用するなどの方式があった。村・村組などの共同利用の例も少なくなく、地下水が涸(か)れると底ざらえをして管理するとともに、井戸は食物を冷やすかっこうの場所ともなった。手押しポンプの登場で釣瓶は不用化し、水道の普及で多くの井戸は使われなくなった。

天野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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