天秤(読み)テンビン

デジタル大辞泉の解説

てん‐びん【天×秤】

支点が中央にあるてこを用いて、物体の質量を分銅と比較測定するはかり。さおの両端に皿をつるすか載せるかし、一端の皿に測る物を、他端の皿に分銅を入れて、さおが水平になったときの分銅の重さで物の重さを知る。上皿天秤化学天秤など。
釣りで、道糸と鉤素(はりす)をつなぎ、糸のからみを防ぐ金具。両天秤と片天秤がある。
天秤棒」の略。「天秤で荷物を担ぐ」

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大辞林 第三版の解説

てんびん【天秤】

重さを比較して質量を測定する装置。竿さおの中点を支点として両端に皿をつるし、一方に測定しようとする物体を、他方に分銅をのせる。竿が水平になれば物体の質量がわかる。
「天秤棒」の略。
ミシンの部品の一。上下に動いて上糸を繰り出したり、引き締めたりする。
釣りで、道糸・鉤素はりす・おもりを接続する金具。片天秤と両天秤がある。
比較すること。
[句項目] 天秤に掛ける

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

天秤
てんびん

左右の腕の長さの等しい天秤ざおの両端に皿を吊(つ)り、品物の質量を分銅の質量と比較する秤(はかり)。天秤には使用目的に応じて、微量天秤、化学天秤、上皿天秤などがある。現在天秤と称されるものはかならずしも両腕の等しいさおのものばかりではない。不等比のさおで分銅を内蔵し自動的に質量を指示するものを直示天秤、さおの傾きを電磁気力でつり合わせるものを電磁天秤と称している。
 人間が最初に用い始めた秤で、現在も最高級の秤はこれに属する。紀元前3000年ごろのエジプトの壁画に表れた天秤は、先細りで軽くじょうぶにつくられたさおをもち、水平を定める装置もついている。古代エジプトの薬法の最小単位は約0.7グラムであるので、天秤の感度はこの10分の1としても、0.1グラムに達したと思われる。分銅には最初石が用いられ、しばしば動物の形につくられていた。天秤による計量には人の恣意(しい)的な操作を入れる余地がないので、正邪を計る神の道具とされた。このため、正義の女神とされるアストライアまたはテミスの像は天秤を捧(ささ)げており、西洋の裁判所には天秤が置かれている。仏教にも同様な説話がある。古代エジプトでは、すでに青銅をつくる過程で天秤が用いられた。青銅は銅と錫(すず)の一定質量比率でもっとも硬い合金となる。天秤の支点、重点にナイフエッジが用いられるようになったとき、その精度は飛躍的に改良された。以後、天秤は冶金(やきん)と化学の有力な道具となり、いろいろな科学の定理や法則の発見に貢献した。[小泉袈裟勝]

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精選版 日本国語大辞典の解説

てん‐びん【天秤】

〘名〙 (「てんぴん」とも)
① てこの原理を応用して物体の質量を測定するはかり。中央を支点とするさおの両端に皿をつるし、それぞれの皿にはかろうとする物体と、分銅をのせて、水平になったときの分銅の重さから質量を知る。精度の高いミクロ天秤などがある。さらばかり。〔文明本節用集(室町中)〕
※俳諧・当世男(1676)春「天や京江戸かけて千代の春〈芭蕉〉」
② はかりのさお。
③ 釣りで、道糸と鉤素(はりす)がもつれないようにするために用いる金具。両天秤、片天秤がある。
※随筆・釣客伝(1846か)上「手釣なり、天秤にて吉、亦は一本針にても吉」
※滑稽本・街能噂(1835)一「後は箪笥、前は箱で〈略〉天秤(テンピン)でかつぎやすから」
⑤ くらべること。また、比較するねうちのあること。
※春の潮(1908)〈伊藤左千夫〉「体一つのおとよさんと比べて、とても天秤(テンビン)にはならないや」

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