鹿児島県北東部,姶良(あいら)郡の町。2005年3月栗野(くりの)町と吉松(よしまつ)町が合体して成立した。人口1万1595(2010)。
湧水町南部の旧町。姶良郡所属。人口8300(2000)。東に栗野岳(1088m),西に国見岳(649m)があり,中央部は川内(せんだい)川が作る盆地とシラス台地からなる。盆地では米作,台地ではタバコ,茶の栽培が盛んで,霧島屋久国立公園に属する栗野岳山麓には放牧場があり,肉牛,乳牛が飼養されている。また栗野岳中腹には栗野岳温泉(単純硫化水素泉,58~75℃)があり,付近に八幡地獄といわれる大噴気孔があって冬季は霧氷が見られる。島津義弘が築いた松尾城跡やハナショウブ自生南限地帯(天)がある。JR肥薩線が通じ,九州自動車道のインターチェンジがある。
湧水町北部の旧町。姶良郡所属。人口4937(2000)。霧島山北麓にある真幸(まさき)盆地にあり,東は宮崎県に接する。中央を南流する川内川に沿ってJR肥薩線が通り,吉松駅で吉都線を分岐する。中世には真幸院の地で北原氏の支配下におかれ,永禄年間(1558-70)に島津氏の所領となった。明治末期以来,鉄道の町として発展したが,昭和30年代以降国鉄の経営合理化などによって衰え,人口流出も進んでいる。産業は農業を主とし,良質米を産するほか,サトイモ,エンドウ,茶の栽培などが盛んである。第2次大戦前の軍馬生産の伝統をついで沢原高原では肉牛飼育,酪農が行われる。11の泉源をもつ吉松温泉があり湯治客も多い。栗野岳一帯はヒガンザクラの自生南限地(天)。
執筆者:吉成 直樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鹿児島県北部、姶良郡(あいらぐん)にある町。2005年(平成17)姶良郡栗野町(くりのちょう)、吉松町(よしまつちょう)が合併して成立。栗野岳(1102メートル)などの霧島山系の山々と九州山地の支脈にはさまれた盆地で、北から流れ込んだ川内川(せんだいがわ)は、町の中央で大きく湾曲して西にむかう。日本名水百選にえらばれた丸池(まるいけ)など、湧(わ)き水が多く、町名の由来にもなった。北から東にかけては宮崎県との県境。南は霧島市、西は伊佐(いさ)市とさつま町に接する。JR肥薩線(ひさつせん)が南北に走り、北部の吉松(よしまつ)駅で吉都線(きっとせん)と分岐する。また九州自動車道が縦貫し、南部に栗野インターチェンジがあるほか、川内川に沿って国道268号が走る。米や野菜、花卉(かき)の栽培のほか、畜産が盛ん。とくに霧島山系の山麓には大規模な放牧場がある。栗野岳一帯は霧島錦江湾(きりしまきんこうわん)国立公園の一部で、北側山腹はヒガンザクラの自生南限地、東側山麓はハナショウブの自生南限地(いずれも国指定天然記念物)となっている。面積144.29平方キロメートル(一部境界未定)、人口9119(2020)。
[編集部]
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