山川 日本史小辞典 改訂新版 「鉄製農工具」の解説
鉄製農工具
てつせいのうこうぐ
農地の開墾や田畑の掘りおこしに用いる鍬(くわ)・鋤(すき)の刃先,収穫や雑草取りに用いる鎌・穂摘具が農具であり,木を伐採する斧,枘穴(ほぞあな)や溝をあけたりする鑿(のみ),木器を整形する鉇(やりがんな)・刀子(とうす)が工具。弥生時代に出現し,古墳時代には新たに錐(きり)・鋸(のこぎり)が加わる。古墳中期になると古墳に大量副葬されるようになり,大阪府野中アリ山古墳の北施設では鎌201,鍬・鋤49,斧134,刀子151,鉇14,錐1,鑿90,鋸7が出土。またその頃鎌が直刃から曲刃へ,鍬や鋤が方形板からU字形へと変化し,農具の一つの画期と考えられる。住居跡からも鍬・鋤・鎌・刀子などが出土し,その所有のあり方から当時の社会構造を探ろうとする研究も行われている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報