鑑別診断のあげ方

内科学 第10版の解説

鑑別診断のあげ方(患者へのアプローチの基本)

 このようにして鑑別診断(differential diagnosis)をあげるには,知識をillness scriptの形で利用できること,そしてproblem representationを提示できることが前提になる.そのためには疾患別の教科書的な知識を学習するだけでなく,症例検討会での検討や症例報告の文献などによる学習が有効であるという.
 この前提を満たしたうえで,鑑別診断を適切にあげる際のノウハウがいくつか知られている(表1-2-8). problem representationを作成する段階では,複数の手がかりを盛り込む.たとえば「頭痛」よりも「突然生じた頭痛」とした方が,さらには「高血圧の既往がある中年女性に突然生じた頭痛」とした方が,適切な鑑別診断をあげやすくなる.このように,主訴のほかに性別・年齢層・危険因子・発症様式などをproblem representationに盛り込むことにより,鑑別診断の検索範囲をある程度絞り込む.
 鑑別診断の検索は「頻度(common)」「緊急性・重大性(critical)」「治療可能性(curable)」の3つの軸で検索する.たとえば,慢性の頭痛で頻度が高いのは緊張型頭痛,失神発作で予後が不良なのは心原性,意識障害ですぐに安全に治療ができるのは低血糖,というように妥当な鑑別診断をあげやすくなることが多い. 鑑別診断のあげ方に重大な漏れが生じることを防ぐには,病態生理や解剖学的区分によるチェックリストを用いて点検する.[大滝純司]
■文献
Bowen JL: Educational strategies to promote clinical diagnostic reasoning. NEJM, 355: 2217-2225, 2006.
Cole SA, Bird J 著,飯島克巳,佐々木将人訳:メディカルインタビュー−三つの機能モデルによるアプローチ 第2版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,2003.
中川米造:過誤可能性.医学の不確実性,pp30-31, 日本評論社,東京,1996.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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