改訂新版 世界大百科事典 「防汚加工」の意味・わかりやすい解説
防汚加工 (ぼうおかこう)
antisoiling
繊維製品にしみや汚れを付きにくくしたり,汚れたものを洗濯で除去しやすくするための加工。繊維の種類,汚れの種類,付着を防ぐか除去に重点をおくかの違いにより,防汚の方法が異なる。ワックス,シリコーンなどの撥水(はつすい)加工剤で処理すると親水性の汚れが,またスコッチガードのように有機フッ素系撥油加工剤で処理すると親水性および油性の汚れが,付着しにくくなる。疎水性の合成繊維は静電気を帯びやすく乾性の汚れが付きやすいので,繊維表面を親水化する帯電防止加工が汚れの防止に有効である。パーマネントプレス(PP)加工を施したポリエステル綿混の布は油性汚れが付きやすく,また,洗濯しても再汚染(繊維からいったん離れて洗濯液へ移った油性汚れが再び繊維に付着する現象)のため汚れが除去しにくい。これを防ぐ加工をとくにSR(soil release)加工といい,白色あるいは淡色のワイシャツ生地などに施される。なお,撥油加工したものは油性汚れをはじくが,いったん汚れが付いたときは洗濯で除去しにくい。
執筆者:坂本 宗仙
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報