防火木材(読み)ぼうかもくざい

改訂新版 世界大百科事典 「防火木材」の意味・わかりやすい解説

防火木材 (ぼうかもくざい)

防火薬剤の加圧注入処理により得られる木材。工業規格には建築用防火薬剤の規定がある。防火薬剤は単一の薬剤では効果を示しにくく,混合薬剤として使われることが多い。混合防火薬剤はリン酸系化合物,リン窒素化合物,リンハロゲン化合物,ホウ素化合物,アンチモン化合物などの混合物からなる。防火効果は防炎効果と防塵効果に分かれる。これらの薬剤は,防炎効果にかかわるものとして,物理的被覆断熱,吸熱,不燃性ガス発生などにより希釈作用,化学的結合作用,脱水炭化作用を行う。また,防塵効果にかかわるものとしては,発熱量の減少,表面燃焼の阻止などの作用を行う。なお単一の薬剤を注入することによっても工業規格の難燃木材として認定されるものを作りうる。リン酸水素二アンモニウム10%液,塩化アンモニウム10%液などがその例である。しかし木材の薬品処理のみで燃えにくいものをつくるのには限界があるので,例えばセメントとまぜて木質セメント板をつくり,工業規格の準不燃材料としている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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