…この二つの方式の優劣は数年にわたって争われたが,アメリカ合衆国では産業資本の要請に対して請負制(囚人労働力の賃貸)でこたえることのできたオーバーン制が勝利を占め,ペンシルベニア州でも19世紀半ばには厳正独居はすてられた。これに対し,アメリカ合衆国に数次の視察団を派遣したヨーロッパでは,当時,地方監獄で雑居混禁(雑居房)による囚人間の相互汚染がまんえんしていたこともあり,独居拘禁が受け入れられ,42年のイギリスのペントンビルなど独居を中心とする監獄が主流を占めた。以上の自由刑は,いずれも死刑に代わるものとして施設拘禁だけでは不十分とされ,重労働をその刑罰内容として有し,賃貸制などによる囚人労働力の搾取状況が一般化したが,19世紀に入って民業圧迫論に基づく刑務作業の排斥運動がおこるに及んで,踏み車treadmillやクランクといった経済的意味のない,苦痛を与えるためだけの空役までも実施された。…
※「雑居房」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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