雲居なす(読み)クモイナス

デジタル大辞泉 「雲居なす」の意味・読み・例文・類語

くもい‐なす〔くもゐ‐〕【雲居なす】

[枕]
雲のかかる遠くの意から、「遠く」にかかる。
隼人はやひと薩摩さつま瀬戸を―遠くも我は今日見つるかも」〈・二四八〉
雲のように揺れ動く心の意から、「心」にかかる。
「―心もしのに立つ霧の思ひ過ぐさず」〈・四〇〇三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「雲居なす」の意味・読み・例文・類語

くもい‐なすくもゐ‥【雲居なす】

  1. 「雲のかかっている遠方のように」の意で「遠く」にかかる。
    1. [初出の実例]「隼人(はやひと)薩摩の瀬戸を雲居奈須(くもゐナス)遠くも我は今日見つるかも」(出典万葉集(8C後)三・二四八)
  2. 「雲があてもなくただよっているように」の意で「心いさよふ」「心もしのに」にかかる。
    1. [初出の実例]「雲居奈須(くもゐナス) 心いさよひ」(出典:万葉集(8C後)三・三七二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android