化学辞典 第2版 「電子求引性基」の解説
電子求引性基
デンシキュウインセイキ
electron-attracting group, electron-withdrawing group
電気陰性基(electronegative group)ともいう.水素原子と比較して,結合している原子側から電子を引きつけやすい置換基をいう.誘起効果やメソメリー効果(または共鳴効果)などの置換基効果の結果,電子を引きつけることを意味する.電子求引性基は正の置換基定数をもつ.代表的なものに-+NH3,-CF3,-CCl3,-NO2,-CN,-CHO,-COCH3,-COOC2H5,-COOH,-SO2CH3,-SO3Hなどがある.電子求引性基はベンゼン環に導入されるとそのオルト位とパラ位の電子密度を低下させ,メタ位のそれが相対的に上がるため,求電子置換反応をメタ配向性にする.F,Cl,Br,I,-CH2Cl,-CH=CHNO2なども電子求引性基であるが,ベンゼン環の反応性を低下させるオルト-パラ配向基である.これらは誘起効果では電子求引性であるが,メソメリー効果は電子供与性であり,前者の寄与が大きいことによる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報