日本大百科全書(ニッポニカ) 「鞆(弓具)」の意味・わかりやすい解説 鞆(弓具)とも 矢を発射した際、弓弦の打撃から左腕内側を保護するために用いられた古代弓具の一種。発掘された埴輪(はにわ)武人像の左手首や腰にそれが装着されており、少なくとも5世紀ごろには用いられていた。鞆は獣皮製で漆塗りとし、中に獣毛、絹、綿などを詰め、大きさはこぶし大で、これを左手首内側に革紐(かわひも)で結び付ける。武用としては8世紀ごろまで使用され、弦が力強く鞆に当たる音が鞆音(ともね)として賞美された。その後儀礼用としては残ったが、14世紀中期ごろ以降は使用されなくなった。現存するものとしては正倉院宝物の鹿(しか)革製・墨漆塗りの鞆が有名である。[入江康平] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例