頤が落ちる(読み)オトガイガオチル

デジタル大辞泉 「頤が落ちる」の意味・読み・例文・類語

おとがい・ちる

寒くて震え上がるさま。
「寒きこといとわりなく、頤など落ちぬべきを」〈・二九八〉
食べ物が非常にうまいことのたとえ。あごが落ちる。
「―・つるやうな」〈虎寛狂・附子
口数が多いことのたとえ。多弁である。
「舌の吊り緒、頤の落つる程、こっちからもしゃべる、あっちからもしゃべる」〈浄・栬狩剣本地

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「頤が落ちる」の意味・読み・例文・類語

おとがい【頤】 が 落(お)ちる

  1. 寒くてがたがたひどくふるえる。
    1. [初出の実例]「寒きこといとわりなく、おとがひなどおちぬべきを、からうじて来着きて」(出典:枕草子(10C終)二九八)
  2. 飲食物の味がひじょうによいさまをいう。あごが落ちる。ほっぺたが落ちる。おとがいが離れる。
    1. [初出の実例]「『扨も扨もうまい事ではないか』〈略〉『おとがいが落るやうな』」(出典:虎寛本狂言・附子(室町末‐近世初))
  3. 口数が多いことのたとえ。多弁である。おしゃべりである。
    1. [初出の実例]「おとがひのおつる程、こっちからもしゃべる、あっちからもしゃべる」(出典:浄瑠璃・栬狩剣本地(1714)二)

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