あご

精選版 日本国語大辞典 「あご」の意味・読み・例文・類語

あご

〘名〙 魚「とびうお(飛魚)」の異名
言経卿記‐文祿二年(1593)六月二六日「屋衆あご十連持来了」

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デジタル大辞泉 「あご」の意味・読み・例文・類語

あご

トビウオ別名

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「あご」の意味・わかりやすい解説

あご
あご / 顎

顎骨(がくこつ)を中心に形成されている摂食に役だつ器官で、上(うわ)あごと下あごとに分かれている。円口類ヤツメウナギなど)を除く脊椎(せきつい)動物にある。円口類にはあごがなく、口で腐肉や他の魚類などに吸着して養分を摂取するが、軟骨魚類以上の脊椎動物では鰓弓(さいきゅう)をつくる骨からあごが発生する。無脊椎動物であごとよばれるものは群により異なり、昆虫類は大あごと小あご、甲殻類は大顎と第1、第2小顎が口器の一部となっている。ウニ類の「アリストテレス提灯(ちょうちん)」とよばれる口器では5個の歯があごの主要部をなしている。

[川島誠一郎]

 人体のあごを構成している骨格は上顎骨(じょうがくこつ)と下顎骨である。いわゆる上あご、下あごである。上顎骨は頭蓋(とうがい)骨のうち、顔面頭蓋に属する骨で、脳頭蓋の一部と縫合結合していて不動であるが、下顎骨は左右の側頭骨の下顎窩(か)と顎関節を形成し、可動性である。つまりあごの運動とは、顎関節を中心とした下顎骨の運動をさすわけである。あごの開閉運動やそしゃく運動の場合、固定された上顎骨に対して下顎骨は前後運動を行っている。ところで、表面からみた顔面のあごの範囲は定義があるわけではなく、はっきりしていない。下唇の下方の範囲を一般にあごとよぶが、解剖学名では頤(おとがい)部とよぶ。この突出部は人間の特徴であって、高等な類人猿でも形成されていない。鼻の下部や側面の耳の前方あたりも広い意味であごとよぶ場合もある。「あごが外れる」というのは顎関節の脱臼(だっきゅう)であって、側頭骨の下顎窩に収容されている下顎骨の下顎頭が前方に外れる場合をいう。下顎骨を下にさげて開口すると外耳孔の前方に皮膚の陥凹(かんおう)部が生じるが、この位置が下顎窩にあたる。下顎骨は人類進化の過程では形が縮小化の傾向を示しているが、老齢によっても下顎骨の体部は低く薄くなるうえ、歯の脱落によってあごの外見も小さくなり、乳幼児の形に近くなる。下顎骨の形態は、このように年齢によって著しく変化するために、あごの外観も変化する。あごの後縁の角度(下顎角という)は幼児では約140度、成人では約120度だが、老齢になると、またこの角度は大きくなる。

[嶋井和世]


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