騰冲(読み)とうちゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「騰冲」の意味・わかりやすい解説

騰冲
とうちゅう / トンチョン

中国、雲南(うんなん)省西部の県級市。ミャンマーへの交通路に沿う。人口61万9430(2010)。後漢(ごかん)の時代には周辺地方は益州(えきしゅう)に属したが、唐代は南詔(なんしょう)国、宋(そう)代には大理(だいり)国の領域となっていた。モンゴル人が大理国を滅ぼしたのち、元代に騰衝(とうしょう)府が置かれ、1913年に騰冲県となった。1942~1944年にはビルマ(現、ミャンマー)から侵攻した日本軍に占領された。新中国になってからは引き続き騰冲と表記し(発音は騰衝と同じ)、2015年に省直轄の県級市へと昇格した。保山(ほざん)地級市が管轄代行を行う。

 周囲には、騰冲火山群とよばれる新生代の火山群があって、火口湖や溶岩流を形成し、みごとな景観をなすほか、温泉などの地熱資源に富む。また、景勝の地として畳水瀑布(じょうすいばくふ)がある。水力発電所や電気機械、農業機械などの工場が立地する。ひすいの集散地でもある。華僑(かきょう)の故郷としても知られ、全人口の80%が帰国華僑であるといわれている。

[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年2月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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