麦とろ(読み)むぎとろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「麦とろ」の意味・わかりやすい解説

麦とろ
むぎとろ

麦飯とろろをかけたもの。江戸時代、東海道五十三次の一宿であった鞠子(まりこ)(丸子)の宿の名物で、いまでも盛んな静岡県の郷土料理である。俳人芭蕉(ばしょう)は「梅若菜丸子の宿のとろろ汁」と詠んでいる。畑でできるナガイモなどでもとろろはできるが、自然薯(じねんじょ)、すなわちヤマノイモを用いるのが本格派。イモの毛根をとってすり鉢ですりおろし、しょうゆ数滴を落とし、あく止めも兼ねて卵を割り込み、温かいだし汁で薄め、温かい麦飯にかけて食する。

多田鉄之助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の麦とろの言及

【とろろ汁(薯蕷汁)】より

…〈言伝(ことづて)汁〉という異称があるが,これはとろろ汁で食べると飯が進むため,〈飯(いい)やる〉を〈言いやる〉にかけた呼名だと《醒睡笑(せいすいしよう)》は書いている。吸物味に仕立てると〈吸いとろ〉,濃いめの味にして麦飯にかけて食べるのを〈麦とろ〉と呼び,薬味にはアオノリを使うことが多い。芭蕉の句にある東海道丸子(まりこ)宿(現,静岡市)のとろろ汁,壬生(みぶ)狂言の演目の一つにもなっている京都山端(やまばな)(現,左京区)のとろろは,古くからの名物であった。…

※「麦とろ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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