丸子(読み)マリコ

デジタル大辞泉 「丸子」の意味・読み・例文・類語

まりこ【丸子】

静岡市の地名。東海道五十三次の宿駅。とろろ汁が有名。古くは「鞠子」とも書いた。

まる‐こ【丸子】

金魚の品種、蘭鋳らんちゅうの別名。

がん‐し〔グワン‐〕【丸子】

《「がんじ」とも》丸薬がんやく

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精選版 日本国語大辞典 「丸子」の意味・読み・例文・類語

まる‐こ【丸子】

  1. 〘 名詞 〙まるこぶね(丸子船)」の略。
    1. [初出の実例]「大丸子(おほマルコ)・小丸子・小ばや。川御座は大名船」(出典:俳諧・本朝文選(1706)二・賦類・湖水賦〈李由〉)

がん‐しグヮン‥【丸子】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「がんじ」とも ) 練って粒状にした薬。丸薬(がんやく)
    1. [初出の実例]「窓からは丸薬(グヮンジ)干程日がはいる」(出典:雑俳・唐子おどり(1704‐16頃))

まる‐こ【丸子】

  1. 〘 名詞 〙 魚「らんちゅう(蘭鋳)」の異名。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「金魚には、まるこ(らんちゅう)、琉金、〈略〉等あり」(出典:東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下)

まりこ【丸子】

  1. 静岡市駿河区の地名。江戸時代東海道五十三次の府中と岡部との間にあった宿駅で、宇津谷峠の東口にあたった。とろろ汁が有名。鞠子。麻利子。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「丸子」の意味・わかりやすい解説

丸子(長野県)
まるこ

長野県中東部、小県郡(ちいさがたけん)にあった旧町名(丸子町(まち))。現在は上田(うえだ)市の南部を占める。旧丸子町は1912年(大正1)町制施行。1954年(昭和29)西内(にしうち)、東内の2村、1955年依田(よだ)、長瀬(ながせ)の2村、1956年塩川村を合併。2006年(平成18)上田市に合併。旧町域は千曲(ちくま)川の支流依田川流域で川沿い以外は平地に乏しい。依田川流域の中心地で、明治から昭和初期にかけては県下でも有数の製糸工業の町として知られた。第二次世界大戦中に、製糸工場の建物を利用して、電機や一般機械工業が疎開、以来電機工業が盛んである。農業では、薬用ニンジンを特産し、リンドウ、キキョウなどの花卉(かき)栽培が盛ん。依田川渓谷の西内地区には霊泉寺(れいせんじ)、鹿教湯(かけゆ)、大塩(おおしお)の温泉群があって、内村温泉郷(丸子温泉郷)とよばれ、国民保養温泉地に指定されている。国道152号、254号が通じる。

[小林寛義]


丸子(静岡市)
まりこ

静岡市駿河区(するがく)西部の一地区。中央部を丸子川が東流し、国道1号が通じる。東海道五十三次の宿場町として栄えた。今川氏に仕えた連歌(れんが)師宗長(そうちょう)が開いた吐月峰柴屋寺(とげっぽうさいおくじ)があり、庭園は国の史跡・名勝。丸子の名物とろろ汁は有名。機械金属工業団地がある。

[川崎文昭]



丸子(多摩川沿岸一帯の地区)
まるこ

東京都大田区南西部から神奈川県川崎市中原区にかけての多摩川沿岸一帯の地区。東海道の脇(わき)往還だった中原街道丸子橋が架かるが、その左岸には円墳が多いことが地名と関係するとされる。東急電鉄東横線・目黒線(旧、目蒲(めかま)線)多摩川駅(旧、多摩川園駅)の東側はかつて丸子多摩川園とよぶ遊園地であったが、現在は田園調布せせらぎ公園になっている。その下流に下丸子(しもまるこ)の町があり、キヤノンなどの工場と高層マンションが集中している。丸子橋西方の川崎市側は上丸子・新丸子とよばれ、工場、住宅地区である。

[沢田 清]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「丸子」の意味・わかりやすい解説

丸子
まるこ

長野県東部,上田市中南部の旧町域。筑摩山地東斜面に位置し,上田盆地の南部に接する。 1912年町制。 1954年東内村,西内村,1955年長瀬村,依田村,さらに 1956年には塩川村をそれぞれ編入。 2006年上田市,真田町,武石村と合体して上田市となった。地名はこの地に勢力をもっていた丸子氏の荘園に由来する。中心集落の丸子は千曲川支流の依田川の谷口に位置する。中世の源義仲旗揚げの地として知られる。明治中期から製糸業が盛んであったが,第2次世界大戦後は紡績,機械金属を中心に工業化が進展。農村部は米作を中心に野菜,花卉園芸にも力を入れている。西部の三才山トンネルで松本市に抜ける。霊泉寺温泉,鹿教湯温泉などの丸子温泉郷は湯治客が多い。鳥羽山洞窟 (国指定史跡) ,法住寺 (虚空蔵堂は国指定重要文化財) などがあり,東内のシダレエノキ,西内のシダレグリ自生地はともに国の天然記念物に指定。一部は八ヶ岳中信高原国定公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「丸子」の意味・わかりやすい解説

丸子 (まりこ)

駿河国の宿駅。現在は静岡市駿河区に属する。《吾妻鏡》に〈駿河国麻利子一色〉と見えるが,鎌倉期には手越宿のほうが有名であった。紀行文などに丸子がしばしば現れるのは戦国期になってからで,駿河国島田に生まれた連歌師宗長そうちよう)は,今川氏親に迎えられて当地に柴屋軒(さいおくけん)を結庵した。また室町期に今川氏の手によって丸子城が築かれ,戦国期武田氏の侵攻により大幅に増築されたが,徳川氏の関東転封とともに廃城となった。近世東海道の丸子宿は1601年(慶長6)に幕府により設定された。品川宿から数えて20番目にあたり,《東海道宿村大概帳》によれば,東は府中宿(駿府)へ1里16町,西は岡部宿へ2里に位置し,宿内の町並みは東西7町であった。1843年(天保14)の調べでは宿内人口795人,惣家数211軒(うち本陣1,脇本陣2,旅籠屋24軒)であり,ほかに大通行のときに休泊を請け負う寺院として歓昌院があった。いわゆる〈東海道五十三次〉のうちでも,小規模な宿駅に属する。茶店のとろろ汁が名物。
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丸子 (まるこ)

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知恵蔵mini 「丸子」の解説

丸子

伊勢市二見町江の水族館「二見シーパラダイス」で飼育しているミナミゾウアザラシの名前。愛称「丸ちゃん」(雌)。体長2.5メートル、体重600キロ。南アフリカ沖で保護され、1989年1月7日に同水族館に来て以来、「あっかんべー」をするアザラシとして有名になり、2012年9月8日、飼育日数の世界最長記録を達成した(8645日=23年8か月と1日)。人間でいえば80~90歳に相当するという。同日現在、国内で唯一飼育されているミナミゾウアザラシでもある。同日には記録達成を記念したイベントが行われ、丸子や水族館の仲間達が「アッカンベー」をしている記念シール(1枚300円)や、長寿・健康・愛などの意味をもつパワーストーンを使ったストラップ(500円)などのグッズ販売も行われた。

(2012-09-11)

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百科事典マイペディア 「丸子」の意味・わかりやすい解説

丸子[町]【まるこ】

長野県中部,上田市南部の小県(ちいさがた)郡の旧町。主集落は千曲川の支流依田川の渓口集落として発達,明治以後製糸業地として知られた。機械部品,金属,電子工業が行われる。西に内村温泉郷がある。2006年3月小県郡真田町,武石村と上田市へ編入。105.70km2。2万4577人(2003)。

丸子【まりこ】

静岡市南西部の一地区。東海道五十三次の丸子宿として栄えた地で,吐月峰柴屋寺(とげつぼうさいおくじ)(庭園は名勝・史跡),名物のとろろ汁で知られる。市街地化,工業団地造成が進展。

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