麦飯(読み)バクハン

  • むぎいい
  • むぎいい ‥いひ
  • むぎいい〔いひ〕
  • むぎめし
  • 麦▽飯

デジタル大辞泉の解説

麦だけ、またはをまぜて炊いためし。むぎめし。
米に麦をまぜて炊いた飯。また、麦だけで炊いた飯。むぎいい。ばくはん。 夏》「―に痩せもせぬなり古男/鬼城
吉原遊女を米(よね)というのに対し、それより劣る意》江戸赤坂溜池周辺の私娼や娼家。転じて、下等な遊女。
「ちっと―も、また薬食ひだはな」〈・絵本合法衢〉
むぎめし」に同じ。

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大辞林 第三版の解説

むぎめし。
むぎめし(麦飯)に同じ。
米に麦(大麦)を混ぜて炊いた飯。また、麦だけを炊いた飯。むぎいい。 [季] 夏。
吉原の遊女をよねというのに対して 江戸時代、下等な遊女の称。
[句項目] 麦飯で鯉を釣る

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

白米にオオムギを加えて炊くか、あるいはオオムギだけで炊いた飯のこと。麦飯の歴史は古く、平安朝のころからあった。江戸時代の『料理調法集』によると、麦を一夜水に浸(つ)けて米に加え、たくさんの水で炊かなければならないなど、炊き方の解説をしている。江戸後期には、農村地帯では米の節約のために用い、一方、江戸などの都会では主としてとろろ汁または種々のだし汁をかけて用い、趣味的な食べ方もあったという。明治に入って麦飯使用はかなり増加している。とくに陸軍では脚気(かっけ)防止の目的で麦飯を用いていた。
 かつては、麦飯は米の節約の目的で食べられたが、現在は健康上食用されることが多い。麦には白米に比べ食物繊維が多く、この不消化成分が腸内乳酸菌の増殖や便秘防止など体にとってよい働きをする。ビタミンB1は、中央部の黒条を残した、いわゆる押し麦では多いが、精麦して縦割りにしたものでは減少するので、B1を強化し、強化精麦にされることが多い。これは、白米と混炊するとB1補給に役だつが、精麦されただけのものでは、あまり期待できない。
 米に混ぜる麦の量は米の2~3割が普通である。水の量は、容量で米は2割増し、麦は1割増し程度にする。麦は軽いため炊くと上に集まるので、炊き上がったら全体を混ぜ合わせる。麦飯にとろろ汁をかけた麦とろ(静岡県)や、魚の冷(ひ)や汁をかけて食べるさつま(香川県)などといった郷土料理もある。[河野友美・多田鉄之助・山口米子]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 米に麦をまぜてたいた飯。また、麦だけの飯。むぎめし。
※貞享版沙石集(1283)八「麦飯なんどは甘露と覚え候なりと云ふ」 〔日葡辞書(1603‐04)〕 〔後漢書‐馮異伝〕
〘名〙 =むぎめし(麦飯)
古今著聞集(1254)一六「麦飯に鰯あはせて煮て、ただいま調進すべき
※近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉一〇「麦飯(ムギイヒ)は争か君の御口に適ふべきやうもあらざるを」
〘名〙
① 米に麦を加えてたいた飯。また、麦だけをたいた飯。むぎいい。ばくはん。むぎはん。
※天理本狂言・腹不切(室町末‐近世初)「むきめし成共しておいてたもれ」
② (吉原の遊女を米(よね)というのに対して、それより劣るの意で) 江戸赤坂溜池辺の私娼や娼家をいう語。転じて、下等な遊女や顔の醜い女のたとえにもいう。
※歌舞伎・絵本合法衢(1810)四幕「薄穢ないわっちでも、万更腹からの乞食でもねえよ。間にゃア、ちっと麦飯(ムギメシ)も、また薬食ひだわな」

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世界大百科事典内の麦飯の言及

【オオムギ(大麦)】より

…封建体制の成立過程の中で,二毛作の発達とも関係しながら,米=貢納,麦=自給というパターンが成立した。 米と混炊した麦飯の形でオオムギは広く食べられていたが,他の雑穀と混炊したり,オオムギだけとしても食べられていた。また都市=米飯,田舎=麦飯というパターンもあり,麦飯は貧困と結びついて粗食のイメージが強い。…

※「麦飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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