デジタル大辞泉 「麦飯」の意味・読み・例文・類語
むぎ‐めし【麦飯】
2 《吉原の遊女を
「ちっと―も、また薬食ひだはな」〈伎・絵本合法衢〉
[類語]銀しゃり・銀飯・しゃり・
字通「麦」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
白米にオオムギを加えて炊くか、あるいはオオムギだけで炊いた飯のこと。麦飯の歴史は古く、平安朝のころからあった。江戸時代の『料理調法集』によると、麦を一夜水に浸(つ)けて米に加え、たくさんの水で炊かなければならないなど、炊き方の解説をしている。江戸後期には、農村地帯では米の節約のために用い、一方、江戸などの都会では主としてとろろ汁または種々のだし汁をかけて用い、趣味的な食べ方もあったという。明治に入って麦飯使用はかなり増加している。とくに陸軍では脚気(かっけ)防止の目的で麦飯を用いていた。
かつては、麦飯は米の節約の目的で食べられたが、現在は健康上食用されることが多い。麦には白米に比べ食物繊維が多く、この不消化成分が腸内乳酸菌の増殖や便秘防止など体にとってよい働きをする。ビタミンB1は、中央部の黒条を残した、いわゆる押し麦では多いが、精麦して縦割りにしたものでは減少するので、B1を強化し、強化精麦にされることが多い。これは、白米と混炊するとB1補給に役だつが、精麦されただけのものでは、あまり期待できない。
米に混ぜる麦の量は米の2~3割が普通である。水の量は、容量で米は2割増し、麦は1割増し程度にする。麦は軽いため炊くと上に集まるので、炊き上がったら全体を混ぜ合わせる。麦飯にとろろ汁をかけた麦とろ(静岡県)や、魚の冷(ひ)や汁をかけて食べるさつま(香川県)などといった郷土料理もある。
…封建体制の成立過程の中で,二毛作の発達とも関係しながら,米=貢納,麦=自給というパターンが成立した。 米と混炊した麦飯の形でオオムギは広く食べられていたが,他の雑穀と混炊したり,オオムギだけとしても食べられていた。また都市=米飯,田舎=麦飯というパターンもあり,麦飯は貧困と結びついて粗食のイメージが強い。…
※「麦飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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