𣏕(読み)こけら

精選版 日本国語大辞典 「𣏕」の意味・読み・例文・類語

こけら【・𣏕】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 材木をけずる時にできる、木の細片。木を、おのでけずった時の細片。けずりくず。木片。こっぱ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「只今ちりたるこけらばかりにて、前に散りつもりたるなし」(出典:古今著聞集(1254)一一)
  3. 材木を薄くけずりはいだ板。槇(まき)、檜(ひのき)、椹(さわら)などの木材を、薄くけずって、板屋根などにふくもの。こけら板。木端(こば)
    1. [初出の実例]「地蔵殿上葺新造以こけら葺」(出典:看聞御記‐永享五年(1433)閏七月九日)
  4. こけらずし(鮨)」の略。
    1. [初出の実例]「かの茄子たけの子の鮓といへば、何のこけらにも似かよひて、あま法師のこがれものならんに」(出典:俳諧・本朝文選(1706)五・銘類・飯酢銘〈吾仲〉)

𣏕の語誌

( 1 )削ぎ落とす意味の動詞「こく(扱)」や、肉が削ぎ落ちた状態になる動詞「こく(痩)」と同源か。木の表面を削り落とした木片を指し、魚の表面を削ぎ落とすことで出る「こけら(鱗)」も同語源。
( 2 )木片を意味する語は、次第に「こっぱ(木っ端)」に代わられ、「こけら」は屋根の葺板を指すことが多くなっていった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android