総立(読み)そうだち

精選版 日本国語大辞典 「総立」の意味・読み・例文・類語

そう‐だち【総立】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 全部の人が出発すること。また、皆いっしょに引きあげること。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「金吾・井筒・小柴・藤山まじりの一座、住よし屋の四郎右衛門より惣だち、遠い芳野より是が花じゃ」(出典:浮世草子・椀久一世(1685)下)
  3. その場にいる全部の人が、興奮したり怒ったりしていっせいに立ちあがってしまうこと。一座ことごとく立つこと。
    1. [初出の実例]「船中みなそうだちにたちさわぎ」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)三)
    2. 「観客が総立ちになってどやどやと場外へ崩れ出す」(出典:秘密(1911)〈谷崎潤一郎〉)
  4. 全部のものが立ってしまうこと。
    1. [初出の実例]「生毛まで総立ちしている、露わな両腕を交互の掌でこすって」(出典:不意の声(1968)〈河野多恵子〉)

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世界大百科事典(旧版)内の総立の言及

【磯の口明け】より

…磯漁や地先漁業のなかで,海草類や魚貝類などを共同採取する場合,日を定めておいていっせいに採取することをいう。土地によっては開口(かいこう)といったり,海入り,総立(そうだて)といったりする。隠岐島ではス(洲)ともいう。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」